しぐさ

何も出来なくて、何をしていいかも分からなくて、いつもの喫茶店に逃げ込んだ。気持ちが言語化できない時、絵を見るのがいい。絵が代弁してくれる。喫茶店の今月の絵本リストにPooka Vol.7という絵本雑誌があって、思わず読みふけってしまった。読むというより長い時間眺めていた。
青い青い空も、美しい写真も、なめらかな言葉も素晴らしいけれど、一度人間のフィルターを通して描かれた絵は、疲れきった心にすっとなじんでいく。しばし、絵本の世界に浸っていた。
夕方の薬を飲みながら、その雑誌にあった詩を読んだ。『しぐさ』という題名のその詩は、ひとのしぐさがどんな言葉よりもひとの心を動かすものだということを伝えていた。私のしぐさは人を傷つけていないだろうか。私のしぐさはひとを勇気付けられるだろうか。優しい言葉だけれど本当に難しい。ひとの佇まい、ちょっとしたしぐさ。言葉よりも外見よりも内面をうつしてしまう怖さ。ゆったりした時間のなかでそれらのやさしい言葉と絵にくるまって過ごした。
Pooka vol.07―絵本工房 (Gakken Mook)
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