アドレスの無いメッセージカード

休日は出かけない事が多くなった。身体がだるくて一日中横になっていても疲れがとれないからだ。
今日は、朝から寒く、雨が降っていた。それでも、私は出かけなければならなかった。彼女がお店を辞める日だからだ。
あの、行けばこころ癒された、散財をわざとしていた、あの洋服のお店に勤めていたスタッフのひとりが、閉店になった後、クリニックの近くのお店に異動になって、時々行くようにしていた。彼女は以前と変わらずに、いつも笑顔で迎えてくれた。
けれど、今月のクリニックの帰りに立ち寄ってみたら、彼女がかしこまって「いろいろ考える事があって、9月いっぱいで退職することにしました」と話してくれた。10月にはリニューアルするお店で働こうと思っていたけれど、友人が立ち上げる会社の仕事を手伝う事にしたのだそうだ。友人とはきっと彼女のパートナーなのだろう。販売とは全く違うお仕事に就くのだと言う。私は彼女の最終勤務日を尋ねて、その日は必ず行くと約束したのだ。
彼女の退職する日、今日は、雨が降ろうと、台風が来ようと、行かなくちゃいけない。彼女にお礼を、さよならを言うために。
今日は中番だというので、昼過ぎ、家を出て、軽い昼食を摂り、彼女へのお別れの記念に何を贈るか考えていた。趣味も分からなかったし、花束が良いのかなと思った。カードをつけて。
駅前の花屋でひまわりの入った明るい感じの花束を買って、メッセージカードをつけてもらった。花束に黄色い小鳥のピックをさしてもらった。新しい仕事が上手くいくように、応援の気持ちをこめて、黄色のリボンの花束になった。
傍のカフェでメッセージを書いた。
『今までお疲れ様でした。いつもお店に来ると笑顔で可愛いお洋服を選んで下さって、心が癒されました。今までありがとうございました。新しいお仕事でご活躍されることをお祈りしています。また、いつかお会いできたらいいですね。』
(続きはあとで書きます)