今まで無視していた身体の異変

仕事の合間、トイレに行って、今まで体験したこともない所から出血していたのに気づき、しばらく呆然としていた。
そのしこりは、随分前からあった。けれど症状がなく、悪いものではないだろうと思うようにしてきた。そして長い期間、私の意識から外されていた。
それが、意識せざるをえなくなったのは、昨年末から急に体重増加しだしてからだった。そのしこりは急激に肥大し大きくなったり小さくなったりを繰り返した。
いやな予感はしていたが、それでも日々の生活に追われて構っていられなかった。
8月に入り、それは、さらに膨張し不安になるほど大きくなっていた。そして2〜3日前から痛みはじめた。けれど我慢できない痛みではなかったから、いつかは婦人科へ行かなくてはと思いながら放置した。
それが、今日、破裂して膿と血液を私に突きつけて警告してきた。
トイレの鏡で自分の顔を見た。
いつもの私。太ってしまった醜い私。いま、私に何かが起こっている。
デスクに戻ると思い当たる病名を検索してみた。
稀な腫瘍だとわかったが、その症状は自分のそれとよく似ていた。
夫にメールを送信した。短く簡潔に。
それから課長に明日病院に行くために休みを申請した。
夫は仕事が終わった後、電話をくれた。
「病院へ行け」
医療不信の夫が、そう言った。
私はいつもより言葉数多く、サッカーをテレビで見ながら時々笑った。
何故だか分からないが冷静でいられた。
最悪の事態も想定して、明日病院へ行く。
明日、それが何なのか分かる。