ここで泣けた…

消化器内科の後、心療内科の予約でした。
診察室前で待っていると、険しい表情の主治医が出てきて忙しそうに行ったり来たりして、私が会釈しても気づかない様子だったので、ちょっと悲しかった。また、前回のように厳しいことを言われるのではないかと思って不安になった。
予約時関になって主治医が私の名前を呼んで診察室に入ると、私が暗い表情をしているのを察したのか、主治医の表情は穏やかになっていた。
私は最初、仕事の話からはじめた。7月の人事異動でフロアの人数が溢れてしまい、私は仕事は変わらないものの、他の部署のデスクに間借りする形になること。最近、仕事に意欲が湧かなくなってしまい、とても疲れてしまうこと。段々会社の人間関係が分かってきて苦しい気持ちになること…話しながら涙が溢れてきて止まらなくなった。
それから、夫が失業して家にずっと引き篭もっていることを話した。会話も成立しなくて、どうコミュニケーションをとったら良いのか分からないこと。これからの生活が不安なこと。以前にも同じようなことがあり、また同じように疲労が蓄積していくのではないかと思うこと。話しながら涙がぽたぽたと落ちて、声が震えて、感情が堰を切ったように止められなくなってしまった。
主治医は穏やかな表情で私の話を聴いてくれた。もう、それだけでも十分だったけれど、ひとつひとつ丁寧に頷きながら応じてくれるので安心して泣くことができた。今まで無意識に我慢していたものが吹き出した感じだったけれど、それを主治医は受け止めてくれた。
最後に過食がまだ止まらないこと、母の介護のことなどを話した。診察後、一時的に体重の減少が見られたが、すぐ元に戻り再び増加傾向にあること。お金は生活のことを考えて節約しなくてはならないのに、ほっと出来る場所がなくて、浪費してしまうこと。介護では取り越し苦労が多くてとても疲れること。そう話しながらまた涙が溢れてきた。
主治医の居るこの診察室では、自分の感情が自由になれると感じた。こころが楽になっていく感じがした。
私は薬の力を借りながら、全力で頑張ってきたんだと思う。気を張ってこころの淀みを流すことも出来ずに、いつも緊張して過ごしてきた。無理していたんだと思う。
話しながら、身体の力が抜けて、こわばったこころが緩やかにこの場になじんでいくような気分になった。とてもリラックスしてきた。
主治医は、仕事を続けることを前提に、処方を考えてくれた。
異常な倦怠感にはリタリンを追加するより抗うつ剤が効いている方が良いので、抗うつ剤の追加をすることにした。不安も安定剤で抑えるより抗うつ剤で対処する方が良いとのアドバイスをもらった。
やはり、診察の間隔が1週間長いだけで、とても苦しい気分になる。今日は久しぶりにこころから苦しい気持ちを話せて、泣くことができて重い気分が幾分軽くなった。私にはまだ主治医が必要なのだと思う。そしてこの診察室の場がなければ、苦しい気持ちを引きずって日々を過ごさなくてはならないのだと思った。
主治医は、次回の診察を、消化器内科の診察日と合わせてくれた。
主治医も大学の教授になって講義と臨床との両立で多忙に違いないのに、ここではゆったりとした時間を用意してくれる。本当に良い先生と出会えて良かったとこころから感謝した。
診察が終わり退室する時、微笑んで見送ってくれた。
45分もの長い時間、嫌な顔もせず、私の話に耳を傾けて下さった先生、ありがとうございました。
診察が終わってからもしばらく涙が止まらなかった。