泣けないから…

あじさい

夫が家賃を振り込んでいないというので、私が代りに振り込みに行って、通帳の残高を見て溜息をつく。
これからは…私が払っていかないといけないのだろうか。それは、いつまでだろうか…。
空は曇っていて、時々雨が降ってきた。
私は少しおしゃれをして、ふらふらとバーゲンセールに向かった。
とても身体がだるくて、疲れていて、まっすぐに歩けなくて色んなものにぶつかった。けれど、私にはいま、ほっと出来る場所がなくて、唯一その店で服と戯れている時が、疲れを忘れられる気がして、そして、浪費する。
店員さんは、お仕事で私の顔と名前を知っていて、笑顔で接してくれる。それは、分かっているけれど、彼女が一生懸命似合う服を探してくれて、それを身につけた私を、暖かい視線で見守るから、私は彼女のためにお金を払っているのだと思う。
先の事も考えず、着ないかもしれない服を買って、店を出ると、更に疲れが増して歩けないくらいめまいがしてきて、近くのファーストフードに入って休んだ。
食べたくも無いハンバーガーのセットを頼み、アイスティーの氷をがりがりと齧ると、身体が店内の空調と同じくらい冷たくなって、自分の存在は消えているような気分になる。
そんな時、泣きたくなる。
だけど、薬が私の感情をがんじがらめに動けないようにしていて、取り乱すこともない。
泣けたら、すっきり前を向けるかもしれないのに。。。