主治医の異動は…

四つ葉のクローバー探して

午前中の予約。1ヶ月半ぶりに主治医に会える。でも…あることが心配で主治医に会うことが恐かった。
病院のホームページから主治医の名前が突然消えていたのだ。外来担当医には名前があったけれど、病院の所属ではなくなったのだと思った。いずれ異動してしまうのではないかという不安がよぎった。
15分早めに診察室に呼ばれた。主治医は朝からとても疲れた表情だった。
話は主に仕事の人間関係に対するストレスに関して。とても緊張すること、どんどん人が代るのと自分が派遣であることでコミュニケーションが取り辛く、それがストレスになってしまっていること。リタリンが増えてしまっていること。朝起きられないかもしれない不安があって睡眠が十分に取れていないと感じること。下血が始まってしまったこと…。
仕事は6月までは契約がある。その先は、最近課長から、まだ居てもらえるか打診があったことを話した。でも、出来れば社員として仕事をする気はないのかという話もあった。
主治医は、社員になるつもりは無いのかと尋ねたので、責任が重くなるし、今よりコミュニケーションは良くなるだろうけれどストレスに耐えられないだろうと思うと話した。もし、延長の話があっても派遣という形で働くほうが良いように思うと。
安定して働きたい、そうなることで精神的にも安定すると私は思う。社員になるのはより安定した形になって本当は良いのかもしれない。でも、そのことで生じるストレスもある。
今の職場で4ヶ月が過ぎて、職場のいろいろな問題点が見えてきた。部署ごとに聞こえてくるいろいろな声…悪い噂…。長く居続けると人間関係が分かってきて辛い気持ちになることもある。
医療に関わる職場は、常に緊張感があって、ピリピリしている感じが、まだ慣れないのです。と私は主治医に話した。主治医は憔悴しきったような表情で私の話を聴きカルテに書き込む。
この仕事に就いてから…主治医は私に自身の弱い部分を見せるようになったように感じた。あるいは同じ時期に主治医をとりまく環境に何か変化があったのだろうか。
リタリンが増えることは、疲れを感じずに働いて、いつか疲れがどっと出るのが心配だから、処方は増やしません。と私に話す主治医の顔は本当に疲れていて、私のほうが心配になってしまった。
処方箋を出してもらい、この後消化器内科にかかることを告げ、カルテを回してもらった。
退室する時、先生、ご異動になるのですか?と尋ねた。主治医はふっと顔を上げ、「ああ、常勤だったのが非常勤に変わっただけで外来には出ますから」と少し笑ったように見えた。とても心配していたと話すと、「定年もありますし、そんなにいつまでもというわけにはいきませんね…そういうことがあったら、出来る限り早めにお知らせしますから」と力を振り絞るように笑っていたように見えた。
先生、無理しないで…こころの中でそう言って頭を下げ診察室を出た。