契約を全うすればいい…

私は退職した社員の引継ぎを正確に務め、その仕事を担当する社員が決まれば、丁寧に申し送りし抱えていた仕事を手放して良いのだ。それが本来の私の役割…。
契約が延長されたのは、担当者が不在だったからで、それがこの新年度の人事で決められた後には…私の役割は終わりを告げられているのだ。
先日の彼女は、部長としばらく別室で話し合っていた。それは私の処遇についてであることは、戻ってきた部長が後任の社員に指示を与えていることですぐ分かった。
私はどの社員がどの仕事の担当か知らされなかったが、後任の社員から引継ぎを…と話があったのだ。
切ないけれど、私の契約は更新されない可能性のほうが高くなった。
誰も恨むまい。むしろ残された契約期間を大切に過ごそうと思った。
今日の私はゆったりとした気分で、ゆっくりと丁寧に後任の社員に仕事の詳細を説明し、おだやかに見守った。
私はこの仕事に関わることで、医療の世界を知ることが出来たし、実践を重ねることでスキルアップにもつながった。
この職場に愛着を感じていたから残念だけれど、契約を全うして次の世界へ行くのもいい。
掛かってくる問い合わせには、進んで後任に回し、分からなければ後に代って処理し、申し送りする。その繰り返しを根気良く続けた。
もうわたしは大丈夫。