思い出と介護

今日実家に帰るのは諦め、書店で本を購入。以前から楽しみにしていた渡辺俊之先生の新刊『介護者と家族の心のケア』。手にとって本を開いた。丁寧なつくりの穏やかな印象の装丁で今まで慌てふためいていた心がしんと静まった。帰りの地下鉄の中で少しずつ読み進めている。渡辺先生のケアの思い出が散りばめられている素敵な本だ。「幼い頃に適切なケアを受けた人は他人に対して適切なケアを提供できる…」(文中から)ああ、そうかも知れないと私の幼い頃を回想する。父と母が深夜口論を始めると決まって私は喘息の発作を起こした。母は慌てて私の元に薬と水を持ってきた。苦い薬をオブラートに包んで飲もうとしては吐き、何度も試みるよう促され、息を整えるようにゆっくり息をしなさいと言われる。発作は一晩中続いた。その間、母は何度も私の様子を見にそっと子供部屋のふすまを開ける。私は寝たふりをする…。抱きしめてくれる愛情は示さなかった母だったけれど、病気がちな私をケアしてくれていたんだなと今更ながら思う。この本の感想は読了してから書きます。