昨日は誰も来なかった

たった一人で病棟の移動をし、動かない身体で荷物を他人に整理してもらうことは、母にとってとても気兼ねして緊張を伴った気持ちにさせただろう。今日初めて母の泣き言を聞いた。段々、動かなくなる左側の口の筋肉。それに伴ってはっきりした会話がしにくくなる。看護師さんにも言いたいことが言えず遠慮しているようだ。トイレも我慢して水を飲まないようにしているらしい。長い年月を経て形成された性格は、急に変える事なんて出来ない。開き直れる人もいるけれど、そんな人だけじゃない。様々なストレスを少しでも取り除けるように、相談したり、気持ちを打ち明けられる専門家がやっぱり必要だと思う。それは家族じゃ出来ない。家族にさえ、遠慮する人もいるのだから。煮え切らない気持ちで家路についた。