母の介護のない日曜日は…

翌日の出勤が楽なのだ。
その週は父や母のことを忘れられるから、いや、忘れようとこころが動くのだと思う。
実家の匂いや徐々に言葉や表情が失われていく母の姿や会う度に老いてゆく父を、関わりを断ち切ってどこか遠くへ逃げたいと思っている。正直な気持ち。
実家に帰る度、すがるような眼で私を見ないで…。
働くようになって、経済的に安定したら、私はもっと自然に家族に接することが出来ると思っていた。けれど、そうではなかった。
職場でもストレスはあるし、お金があれば、それに依存して、お菓子や洋服を買いあさり、不安定なこころを埋め合わせようとする。そして自己嫌悪する。
私がもっと裕福なら、家族に対する感じ方も違うだろうか?
キャリアウーマンの妹、栄転した弟…父は今でも兄弟を比較する。「それにひきかえお前はいつもどこか悪いな」と。この歳になってそんなこと言われるなんて、言われて傷つくなんて、おかしいおかしいと頭を振って、奥底から込み上げてくる感情を抑えようとするけれど。
私はまた、泣けなくなった。
その代わり、私を誘うお菓子や洋服やちょっと雰囲気のいいカフェや…そんなものに依存して「なにか」を満たそうとしている。
このままでは、自分がだめになる。
けれど逃げたい。
重く暗く悲しい思い出しかない実家には、私の居場所はない。