笑顔に支えられて

心療内科の通院日でした。
今日の主治医は華やかなブラウスを着ていて、予約時間を待っている私を見つけると手を振って微笑んでくれました。少しびっくりしたけど嬉しい気分になりました。
診察は早めに始まりました。
私は心の中の主治医への依存を振り切ろうとなるべく低い落ち着いた声で現実的な話をしました。
本当は前回主治医が暖かい支持をしてくれなかったことの意味やその後寂しい気持ちを抱えて不安だったことを話したかったのですが、また泣いてしまって会話にならないと思ったので話を切り出すことができませんでした。
話は主に失業状態からなんとか社会復帰したいこと、当座をしのぐ方法、水を飲む依存状態への対応などになりました。
主治医は仕事を軽作業や週払いなどの分野まで広げて考えていることに多少危惧している感じを受けました。それよりも仕事の無い不安を作品の制作へは向けられないだろうかと提案されました。
それはとても適切な提案だと思ったのですが、経済的に不安定ななかで制作に手がつけられない状態であることを話しました。本当ならこの時間を建設的な方向に生かすことは心にとって良いことだと私も思いました。でも出来ないのです。
それから水を大量に飲むことが止められなくなっていることへの対策を考えました。水を大量に飲みすぎると血液が薄くなって痙攣を起こすことがあるので、せめて一日3ℓ程度に抑えられないか、依存状態なのでその行為を別の体を痛めない行為へ転換してみるように言われました。自分でもおかしいと思うくらい水を飲んでいるのです。仕事を始めれば多分そんな暇は無くなるので治まると思うのですが、それまでの間、水から離れることを始めてみようと思います。もしかしたらそれは作品を作ることなのかも知れないのですが。
私はずっと心の内を話せずに穏やかに話すことを心がけました。けれど主治医はもっと私の気持ちを話していいのですよという態度を見せていました。私は主治医に今の自分の苦しさや寂しさを吐き出したかったけれど上手く話せませんでした。今日は私のほうが主治医と距離をとってしまったようでした。
それでも穏やかに微笑んで私の悩みに耳を傾けてくれる主治医の姿勢に前回のような突き放されたような寂しさは感じませんでした。暖かく見守ってくれるような視線が私の気持ちを軽くしました。
気がつけば1時間近く話していました。私は主治医への気持ちを結局言葉に出来ず診察を終えました。言葉にならない気持ちは深い溜息に変わりました。
先生、次回は心のうちを言葉に出来るように、不安を乗り越えて仕事に就けるように踏ん張ってみます。長い時間ありがとうございました。