お金送ろうか…

私は家事をしていて気づかなかったが、午後8時40分頃大きな地震があったとテレビの速報に出た。実家の方は震度4と出ていたので心配になって電話した。
父が出た。地震は体感ではもっと大きかったし怖かったと言っていた。私の体はどうかと聞かれたので手は動くようになったし大分良くなったと話した。何時実家に来れるか聞かれたので言葉に詰まっていたら来週は妹が来るから大丈夫だと言われた。不安定で自信が持てない自分が情けなく父母や妹に申し訳ない気持ちで一杯になった。でもいつまでも介護を休んでいる訳にはいかない。早く自分を立て直して家族を支えなくては。
電話は母に代わった。凄く揺れて起きてしまったと笑っていた。体は治ってきたけど仕事がまだ決まらなくて帰れなくて悪いと母に謝った。母は「お金は大丈夫なの?今少しお金があるから送ろうか?」と言われた。私は泣きそうになるのを我慢しながら、「まだ大丈夫だから。そのお金はとっておいてね」と母の厚意を断った。送って欲しい気持ちが無いわけではなかった。交通費や介護にかかる諸々のお金を考えると少しは負担して欲しい気持ちもある。だけどもう少し頑張ってみようと踏みとどまった。苦しかった。
私が介護に行かない間に実家の風呂に手すりや滑り止めも付き、ヘルパーさんが入浴介助をしてくれるようになったそうだ。「これから寒くなるからお風呂に入れるようになったのは良かったね」と言ったら母も「シャワーだと寒かったから良かったよ」と嬉しそうだった。
それから少し世間話をして電話を切った。
母の「お金送ろうか」という声が耳に残って離れなかった。