無理してないから

この週末の介護にも私は行けそうに無い。仕事がはっきり決まらず心がぐらぐらと不安定になり、かえって母を傷つけてしまいそうで辛いのだ。
妹に電話して代わってもらうことを詫びた。
妹は快く引き受けてくれた。泊りがけで実家に帰らないし昼ごろ行くだけだから無理してないから大丈夫だと言う。
「無理してない…」
この言葉が私に足りない。自分を犠牲にしてまで介護に没入しない姿勢。妹は気まぐれに見えるけれどやりすぎてストレスを溜めるような愚かなことはしないのだ。自分のスタイルを変えてまで母に合わせなくても気楽に介護に行く。本当はその方が長続きするのだと思う。
母の絵は、私が介護に帰ったとき集中して描いたそうだ。その後は妹は昼すぎから来るのでそれほど筆は進まなかったと聞いた。少しほっとした。私の介助は過剰なのかもしれないけれど母の絵を描く楽しみに寄り添えた気がした。
来週は搬入なので額をつけてやろうと思っていると妹は言った。今回は出すだけで十分だと思うからねと。
母は納得いく作品が描けなくて内心落胆しているのだろうか。それともこれだけの大きさの作品を描くことが出来て満足しているのだろうか。
本当は母の絵を仕上げてやりたい。不自由な母の手足になって納得いくまで絵を描かせてやりたい…。
ごめんね。帰れなくて、手伝えなくて、大切なことなのに…。本当にごめんね。
そして、妹にありがとう。母をよろしく頼みます。情けない姉でごめんね。