星空を見上げて…

七夕は義父の命日。
夫はバイトで遅くなるというので私は喫茶店で簡単にパンを食べて夕食にした。
夕方の激しい雨は上がり、雲の切れ目から星が見えた。
ユリの花を買って帰った。義父の遺影に飾った。
それから私は量が増えた薬の副作用で身体がだるくなり、床に転がって休んだ。
後から帰ってきた夫はビールを注いで供え、私にもすすめた。私は少し飲んだけれどだるくてすぐまた横になった。
「星が見えたよ…」
夫も自分の父を想い出していたのだろう。お酒と珈琲が大好きだった義父…。七夕の日に何も言葉を残さずに逝ってしまった義父…。
「どうか私たちを見守ってください…」
崩れ落ちそうなだるさのなかでこの広い空の星になった義父を想い祈った。