介護者と家族の心のケア

以前紹介した『ケアを受ける人の心を理解するために』という本の著者である渡辺俊之先生の新刊が6月に発行されます。母が突然入院してから遠距離のお見舞い、リハビリと介助、医師や看護師との関わり…色々な経験をしてきました。その中で今まで心の隅に置き去りにしていた家族への複雑な感情が甦り、私は母をどう介護していったらよいのか悩みました。そんな時ネットで検索していたら渡辺先生のサイトに辿りつき上記の著書に出会いました。介護保険が運用されるようになり介護がビジネスになりつつある昨今、福祉に関する法律やサービス、介護マニュアルなどの本は溢れていますが、介護されるひと・するひとの心について書かれた本は少ないと思います。私は渡辺先生の本を読むことで母の心に少しは寄り添う準備を進めることができました。まだまだ辛い事は多いのですがケアは身体的なものに留まらないこと、ケアすることでお互いにケアされていることを意識すると心にしあわせな気持ちが湧いてくる事を学びました。新しい本の表紙には渡辺先生の御祖父様御祖母様の写真が使われています。渡辺先生のご家族の原風景なのでしょうか。「編集者と著者がケアしあいながら著作は生まれる」(先生のブログの言葉から引用)…この本の発行を楽しみにしています。看護や福祉・介護職の方向けの本ですが、専門家でなくても介護する家族を持っていたり今現在ケアをしている方なら用語辞典などを引きながら読んでみることをお勧めします。

高崎健康福祉大学・渡辺俊之研究室
渡辺先生のブログ:辺縁への志向性
ご自身のスタンスを「学際的」と言わずに「辺縁」と仰るところにセンスを感じます。そして辺縁は社会の端に追いやられた人々のいるところでありかつ他の世界との縁が触れ合うところ。優しさとネットワークをイメージさせる言葉でもありますね。