母娘であっても愛せない…

仕事の合間に制作を入れてぎりぎりの状態なので、これから3回週末に実家に帰れそうもない。妹にそのことをメッセージに入れておいたが罪悪感が湧き上がって来る。心配で何度も妹の電話にコールするが留守。父に確認すると今週は実家に帰ってきて母の介護を手伝っているから心配ないと言う。
しばらくそわそわと今日実家に帰るべきか迷っていると妹から電話が来た。母が傍に居るという。大分落ち着いたし心配ないから週末のことは分かったと言う。私は緊急用に買い置いた糖尿病食のレトルトセットを使っていいからと伝えた。妹は母と話すかと聞くので待っていると「いいよ、いいよ…」という母の沈んだ声が聞こえた。ふっと寂しくなる。母はやはり妹を頼りにしているのだな。不安定で病気で遠方に住んでいる娘は当てにしていないのだなと思って悲しくなった。少し間を置いて母が電話に出た。今日は天気が良くて公園に行って歩いてきたという。運動になって良かったねと他人行儀な言葉を返してしまう。転倒には気をつけてね、と言うと「はい」と機械的な返事が返ってくる。じゃあ…と母が電話を切ろうとしたので、病院の展覧会の話を早口で話した。「それはよかったねえ」と母は言ったが言葉が棒読みのように抑揚がなく気持ちが分からなかった。でも仕方ないんだ。母は私が転倒のことをこの間お説教したから機嫌が悪いんだろう。そして私に対して何も期待していないのだからこれでいいんだ。電話は妹に代わり、3回代わるのは大丈夫だしその後も無理しないで交代でやっていこうと言った。
3時間の距離があるからお互い冷静になれる。母にも妹にもこれでいいんだと自分に言い聞かせて電話を切った。遠い空の下、それでも母を想ってる自分を抱きしめてやる。ふいに涙が流れた。母娘でも愛せないことは事実として受けとめよう。どうしてかなんて考えるのはもうやめようと思った。