妹の誕生日プレゼント

兄弟とは表面上仲良くやっているように付き合っている…と私は思う。他の兄弟が私をどう見ているのかはもう考えない事にした。主治医も「心配になったらそこで考えを止めなさい」と言っていたし。
妹の誕生日はとうに過ぎていた。その日は覚えていたが電話するのが辛かったのだ。今までなら何がいいか尋ねてから買いに行っていた。去年は体調が悪かったから贈りそびれてしまった。今年は…どうしようか考えたが、独断で買って持っていくことにした。
インナーウェアがいいと思った。だからいつもいいなと思っていたウンナナクールのキャミソールとショーツのセットを選んでラッピングしてもらった。ここのインナーはどれも可愛いしサイズも相談して妹の体型に合いそうなものを見つけたので1回ぐらいは着てもらえるだろう。妹の好みのグリーン系の花模様。黄色のふちどりがアクセントになっていて妹に似合うと思った。
実家に帰る電車に乗る前に、駅ビルのカフェで夕食代わりのラテを飲みながら、鳥のかたちのメッセージカードにこんな言葉を書いておいた「お誕生日おめでとう。考え方も生き方も違うけど世界にたったひとりの妹の幸せを祈っています」私からの精一杯の気持ちだ。いやみだと思われたならそれでもいいと思った。
実家に到着したのは午後10時を過ぎていた。父は起きて待っていてくれたが、電話が来て妹は今日は実家に戻れないと言ってきた。プレゼントの入った可愛らしい小さなバッグは、ぽつんと妹の部屋へ続く階段へ置かれた。
une nana cool
父に勧められビールを飲んだが、あまり美味しくなかった。ただ実家の中が寒く風がびゅうびゅうと吹き抜けているように感じ、椅子の上で膝を抱えてガタガタ震えていた。今日は最高気温が26度を超える夏日だったのにも関わらず、私は寒かった。
明日の母の外泊の手順を考えて緊張し、殆ど眠れなかった。