病棟の恋

母の入院している病院には若い患者さんもいる。今、リハビリ病棟で患者さんたちに微笑ましく見守られている一組のカップルがいる。まだ、お互いの気持ちに気づいていないのかもしれないけれど、ふたりはいつも一緒にいる。女の子は中学生。半身麻痺で車椅子。でもとても元気で明るい性格。男の子は多分高校生。内科系の疾患なのだろうか、身体には麻痺はなく普通に歩くことが出来る。男の子が車椅子を押して、女の子が笑顔で後ろを振り返る。お互い病気を持っているのに、気持ちを通わせるのに障害は無いように見える。特に女の子は無意識に男の子に対して好意を発している。本当に全身から、オーラが出ているみたいに。この恋の未来は誰にも分からない。でも人恋しくなるこの季節に病棟に明るい話題を振りまいている。
恋をするように介助者は患者と心を通わせることが出来たらどんなに楽だろう。この壁のような苦しさを打ち破る力が恋にはあるのだろうな。