坂道

祖母の法事が終わって、新しいお墓に家族でお参りに行ったとき、脚が悪くなった母は急な坂道を登るのが苦しそうだった。「もうこの坂道を登るのは最期かもしれない…」と呟いたことを思い出し悲しくなった。母のアレルギーもストレスに脆弱な気質も絵を描く能力も受け継いでしまった私は、母が衰弱していくのを見るのが辛い。他の兄弟に断られた頼みごとも私は母が哀れに思って引き受けてしまう。あの話、期待してはいけなかったのだ。もう母を追い詰めるのはやめようと思う。もうこれ以上辛い思いをしなくていいように、何もなかったように接していけばいいのだ。健康に気をつけて、もっと良い医療機関に掛かって。母がもっと楽に幸せに暮らせるように。私はまだ働ける。仕事を選ばなければなんとかなる。もう、気にしなくていいよ…