新聞屋にもらったチケットで神宮球場のヤクルト対広島戦を観戦してきた。天気もよく、ビールが美味しかった。夕暮れ時の空の色とライトアップされたスタジアムの芝のグリーンの対比が美しく、応援の喧騒も心地よかった。夫はそばやらたこやきやらビールやら、こまごまと運んでくれ、私はぼんやりとバッターボックスを眺めていた。夫が何かで中座したとき、急いで薬を放り込んだ。水が無いのでそのまま飲み込んだが、その後クラシックラガーで流し込んだ。しばらくして、意識が遠のくような感じがして身体が揺れた。目が開けていられなくなった。すぅっとこの広い球場に溶けていくみたいに身体がふわふわとして気分が良かった。アルコールで薬が一時的に強く出たのだろう。夫には「眠い」と言った。夫はグレープフルーツジュースを買ってきてくれた。それを口に含みながら、このまま、何もかも置いて、消えてしまえたらいいのにと思った。何度も意識が遠のく。夫は「もう帰ろうか」と言うので、「まだ見ていたい」と言って引き止めた。夫の応援する広島カープは、すでに逆転され点差が開いていて負け試合は確定していた。でも、最後までここに居たかった。このまま意識を失って消えてしまえたらと密かに願っている自分がいた。