1ヶ月に1回は受診を

今日は会社はお休み。主治医に無理をお願いして診察の予約を入れていただいた。考えてみれば1ヶ月以上先生とお話していない。たくさん話したいことはあったけれどメモにまとめないでその時感じたことを話そうと思った。
午後から冷たい雨が降り出して病院も空いていた。
前の患者さんが時間通りに診察を終えて出てきた。間もなく主治医が診察室の扉を開けて私の名前を呼んだ。懐かしい声、温かい笑顔…。
最初に仕事に就いてからの状況を話した。仕事は厳しいけれど職場の環境は良いこと。延長の可能性があること。昼休みが不規則になってしまうこと。
そこから今回の最大の相談事である過食傾向についての話になった。
体重が急速に増えてしまい、夫が驚いていること。7号サイズが現在11号までになり、これ以上だと今もっている服が着られなくなること。食欲は満腹になっても押さえられないで気持ち悪くなるほど食べてしまうこと。満腹で疲れて眠ってしまい夜の薬が飲めない日が増えていること。
過食傾向については主治医は細かくその時の気持ちや行動のパターンなどを尋ね、さらに症状を具体的にまとめていった。
過食傾向が始まってからは水を大量に飲むことが減ってきていた。多分水が食べ物にすり替わったようだと思われた。
主治医は過食は結果であってそれをさせるこころの歪みがあるのだろうと考え、様々なストレスを探っていった。夫婦関係、職場環境、介護や家族の問題、経済的な問題…
ひとは生きている限りストレスから逃れられない。それを上手くかわしたり生かしたりして生活している。私にも大きなストレスから些細なものまで色々なストレスがあるけれど、過食行動に繋がる歪みがなかなか特定できなかった。過食の元になった過飲行動は手の麻痺から始まったものだけれど、麻痺はもう殆ど仕事に支障のないまでに回復している。なぜこんなに食べなければ居られない状態になってしまったのか…
少し間を置いて主治医が「今まで3週間に1度の診察だったのが3ヶ月になって、その影響もないでしょうか」と静かに言った。
私ははっとして、「そうですね、今週先生に電話した時、声を聞いたら体の力が抜けました…」ああ、私は診察が受けられないことが不安になっていたのだろうか。主治医と話をすることが生活の一部になっていたのかも知れない。良いか悪いかは別としてそれがなくなることがこころに歪みを生じさせていたのだろうか。
「せめて、1ヶ月に1度くらいは受診する時間を確保する方向で考えたほうが良いですね…」
主治医は表情を変えずにそう言った。私が主治医に依存しないよう細心の注意を払った態度のように見えた。
私はどこかで主治医に依存するのは止めようとしていた。薬さえ貰えれば私は大丈夫だと自分に言い聞かせ診察はうとましいものと思うように仕向けてきたのだと思う。だけど、主治医の存在が今の私には必要なことに変わりはない。依存は避けたい。でも本当に辛いときこころの拠り所になる存在を消すことは、その不安を解消する別の術を探し求めることになってより容易い食行動で満たそうとするのかも知れない。
主治医は薬の飲み方を変えることを提案してくれた。SSRIには強迫性障害を緩和する働きがある。人によって効果が出るひとと出ないひとがいるけれど、試してみる価値はあるだろう。
薬に依存するのではなく、薬の勢いで悪い連鎖を断ち切る勇気を出せるように。
先生、私にとって先生のいるこの診察室での時間がとても大切に感じています。来月も時間を作って先生に会いに行きます。その時は多分過食は治まっているといいなと思います。
今日はたくさん話して時々笑って、先生の醸し出す落ち着いたあたたかさに包まれてとても楽しい時間を過ごせました。
忙しい時間をぬってゆっくりお話する時間を作ってくださってありがとうございました。