言葉にすれば

実は野球を観る前にちょっとしたことで夫が機嫌を悪くしてまた口をきかなくなってしまった。私は困惑したが、いつものように泣いて謝ることはしなかった。
私は悪くなかったと思ったし、そんな些細なことで怒る夫のほうが大人気ないと思ったからだ。
わざと大きな声で「そんなことで怒るなんて気が短すぎる!血圧が高いんじゃないの!すぐぶりぶり怒っておかしい」とくちごたえした。
言葉にして声に出してみるとすっきりした。そしてイラついて私に背を向け飲んでいる夫のビールを取り上げて自分のグラスに注ぎ一気に飲んだ。
それから二人で野球を観てその展開に引き込まれていった。
ロッテが逆転したときには手を叩いて喜んでいた。
夫のほうが「よかったねえ…」と口を開いた。
ちいさなストレスでも心に溜めていては駄目なんだなと思った。言葉にして気持ちを伝えないと、時には喧嘩になっても。そうしないと届かないんだと思った。