怪我と病気とどっちが大事?

消化器内科の通院日。私は男性医師が苦手だ。特にてきぱきと自信を持って仕事をし声が大きいタイプはどんなに評判が良い医師でも勘弁して欲しい。しかし、私の担当医はそういうタイプの男性だ。慢性疾患を持っているとスパンは長くなるが必ず薬を処方してもらいに行かなくてはならない。何度も医師をチェンジしようと試みたが、担当医は科内でも腕の良い医師なのか、私が担当したくない患者だからなのか、元に戻されてしまう。この歳になって、心療内科の主治医にフォローしてもらいながらなんとか担当医は変えないで現在に至る(笑)ということは、この診察が非常に緊張し苦しいものであるということだ。苦痛を取り除いてもらうための診察が苦痛なんて笑い話にならないじゃないか。病気を克服するというより、苦手医師を(というか苦手な男性のイメージを)克服するために通院しているみたいだ。
前回、心療内科潰瘍性大腸炎の再発らしきことがあったことを話していたので、それをカルテにしっかり書かれてしまっていた。旅先で怪我したことも、抗生剤を飲んで下血したことも。当然厳重注意。「何で病院に来ないの?薬剤性のものか再発か後から話したって診断できないでしょう。他の先生でもよかったじゃない」「怪我は治るんだよ。あなたは病気なんですよ。そのままにしていたら悪くなって入院しなくちゃいけなくなったりするんですよ」ああ、仰ることは良くわかります。私にも事情があったのです。でも素直に謝って今度から変化があったら病院に行きますからと大人しくしていた。
それから、難病医療費助成申請が通って医療券が交付されたのでそのお礼を言った。担当医は機嫌を直していたというか、きょうは以前より意思疎通がはかれたかなと思った。
担当医の「怪我と病気とどっちが大変なの?」という問いは、難しいと思った。私は怪我をした。それは予期せぬことだったが、ある種自傷行為に近い意味合いがあった。そのまま頭が割れて死んでしまえたらいいとその瞬間思ったからだ。私は猛スピードで運ばれて外科的処置を受け幸い大事には至らなかった。でも、あの時、心にも傷を負ってそれはまだ化膿したままのような気がするのだ。潰瘍性大腸炎の根本的な治療法はまだない。悪化させると入退院を繰り返す。担当医の言いたいことは解る。だけど怪我のショックの方が私にとっては痛かったのだと思う。